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千駄木の眼鏡02──女たちのふるさと千駄木

千駄木の眼鏡02──女たちのふるさと千駄木

千駄木二丁目西町会の「千駄木茶話会」

語り尽くせないエピソードの数々をもつ谷根千。千駄木二丁目西町会では、「千駄木茶話会」と題して、まちの先輩たちから話を伺う会を開催しています。第2回のゲストは、町会歴代婦人部長のみなさん。イベントの様子をレポートします。

千駄木二丁目西町会には、「青年部」や「企画部」などの部会がありますが、女性が所属するのが「婦人部」。町会のあらゆる催しを支えてきました。

今回のゲスト(左から順に)
 7代目婦人部長 濱井照子さん:結婚して65年、その前から千駄木在住。
 9代目婦人部長 大山廣子さん:50年以上前から千駄木在住。お母様も婦人部。
 10代目婦人部長 圷ひろみさん:50年前に嫁いできてから千駄木在住。ご主人のお母様が婦人部。
 11代目婦人部長 稲垣冨喜子さん:約15年前から千駄木在住。2024年4月から婦人部長を務める。

そんなことまで!? あらゆる催しを支える婦人部

浜井さん:結婚して初めて根津神社のお祭りに参加することになりましたが、大きい神輿が来たり、お酒配ったり、すごいまちだと思いました。山車を手作りしたりもしてました。素人が骨組みから少しづつ作って、だんだん色をつけて装飾つけて。作っている間から毎日宴会でしたよ。

私が婦人部に入った頃は、会館でダンスパーティーがあって、楽しかったですね。消防訓練とか、千駄木マラソンの給水とか、婦人部は催しがあれば何にでも出て。町会行事も自分で決めてやらないといけなかった。

毎年春のつつじまつりの時は、根津神社の境内で、小屋を建てて甘酒を売っていました。店番は他の町会と交代だけど、お金の管理は西町会。お金を朝届けて夕方回収して勘定して。忙しくて1ヶ月間どこにも出かけられませんでした。

最近になってようやく「大変だったけど楽しかった」と思えるようになりました。

毎年10月の下町まつりで、味噌おでんと、べったらと、りんごと、売っていました。味噌は木曽から取り寄せたりこだわって。最初は他の町会と変わりばんこでやっていたけれど、途中から千駄木だけでやるようになり、今も続いています。

餅つきなんかも婦人部で企画してやっていました。

時代に合わせて進化する婦人部

圷さん:私が婦人部長をやっていた間にコロナ禍になって、2年半くらいできることがほとんどなくて。私が初めて参加したころは、主人の母が婦人部だったので一緒に参加していたのですが、いま以上に活動が活発で。毎年のように、神社や山に泊まりがけで出かけたりしてましたね。

でも最近は、若い人も入ってきて泊まりがけが厳しいので、日帰りのお食事会のような形で復活しています。落語見たり神社にお参りしたりして、そのあとお食事したり。

浜井さん:大変だったけど、婦人部をやっていたおかげでたくさん知り合いができて、道で合えば挨拶ができる、そんな関係ができたから今も楽しく暮らせています。

稲垣さん:千駄木はもともと縁がなかったけれど、主人が気に入って引っ越してきました。結果的にこんなに楽しい活動に参加することができて、主人には感謝しています。

大山さん:今の感覚から言うと、そんなことまでやるのかなと、「はて」と思うこともありました。例えば、昔は総会を盛大にやっていて、婦人部でお酒をお燗して出すわけです。「飲みたいならどっかの店で飲めよ!」って思ったり。笑 昔は女性が表に出る機会は少なかったけれど、もう時代は違いますから。常に現状を疑ってみることの積み重ねが、これからの若い人たちの将来に繋がっていくんじゃないかなと思います。自分が婦人部長になって変えたいなというところもあって、どれくらいできたかわかりませんが、みんな優しくて働き者で、支えられてやってきました。思いやりが注がれています。あるひとは「千駄木二丁目の婦人部は最強」と言っていましたね。

浜井さん:大変だったけど、婦人部をやっていたおかげでたくさん知り合いができて、道で合えば挨拶ができる、そんな関係ができたから今も楽しく暮らせています。

つつじまつりに併せて隔年で開催される、婦人部主催のチャリティーバザー。今回の売り上げは能登半島地震への義援金になりました。

会場には、今年百歳になられたのは石井禮子さんも。

石井さん:1952年に神田から引っ越してきました。子どもが小学校に入ったころからまちの人と仲良くなりました。お隣のお屋敷に住んでいたのが、初代の婦人部長だった井上さんという方で、本当に立派な方でした。大変お世話になりました。

文京区の成澤区長も飛び入り参加。

成澤さん:ここまで婦人部がしっかりしている町会はなかなかないですよ。老・壮・青のバランスが取れていて、本当に最強の町会だと思います。

今回のゲストとともに成澤区長と石井禮子さんも一緒にパシャリ

千駄木二丁目西町会の婦人部はいま18名。これからも形を変えながらまちを支えてくれることでしょう。

「千駄木茶話会」は、お茶とお菓子を囲んで町の先輩の話しを伺いながら 気軽なおしゃべりを楽しむ、参加型のお話し会です。
昔のエピソードや、今日までの物語をきっかけに、皆さんの何気ない会話を通じて、日々の暮らしがより豊かになるヒントや、町をもっと好きになるきっかけが作れたら素敵だなと思い企画しました。
ご参加の皆様の交流を深めるのはもちろん、この様な形で “記憶” を “記録” にしながら、シリーズ化できたら嬉しいです。今後もご期待ください!

千駄木二丁目西町会のX:https://twitter.com/sendagi2w

この記事を書いた人ライター一覧

内海 皓平

1995年東京生まれ。藍染大通りに惹かれて根津に住む。まちがたり実行委員会メンバー。主な活動に『藍染大通り歩行者天国50周年記念誌』『銭湯山車巡行』『ブリコルひらい』など。 WEBはこちら

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