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きれいな街は 人にも犬にも優しい街~いつか「お役御免」になる日まで~

きれいな街は 人にも犬にも優しい街~いつか「お役御免」になる日まで~

みなさんも「犬のフンを持ち帰って!」というプレート、どこかで一度は目にしたことがありますよね?!なんと、台東区台東保健所では、誰もがちょっとニッコリしちゃう、ナイスな犬型の「マナー啓発プレート」を無料で窓口にて配っているのを知っていますか?
そんな台東区の気になる取り組みについて、台東保健所の「愛護動物管理」という名のフン害対策に奮闘されている担当者さんに「犬のマナー啓発プレート」の謎についてお伺いしてきました!

「へび道」という名のワンダーランド。風情と「現実」の狭間で

ある晴れた日、私は千駄木駅近くの「へび道」を歩いていた。かつて川だったというその道は、絶妙にくねっていて、谷根千らしいエモさが大渋滞している。おしゃれなお店、青々と茂る木々。
「あぁ、この街、マジで最高…」

名前のごとくへびのようにぐねぐねと続く道

街並みを愛で、鼻歌まじりに完全なるロマンチック・ワールドへ没入していたわたし。…がしかし、そんな夢見心地な視界に、突如として「あるモノ」が飛び込んできたのです。皆さんも経験があるでしょうか?うっかり「ワンちゃんからのサプライズプレゼント(要するにアレ💩)」を見つけてしまった時の絶望を。さっきまで急上昇していた気分は、一瞬にして垂直落下のジェットコースター。美しい風景は、強烈な「現実(ニオイ)」によってノックアウト。

そんな「悲劇と喜劇」が交錯する境界線上で、台東区側のフェンスにひっそりと、しかし確かな存在感を放ちながら、つぶらな瞳の犬と猫イラストと共に、わたしの心臓をド直球で射抜く哲学的なフレーズを語る「犬のマナー啓発プレート※」が…。

へび道で出会った「台東区役所・下谷・浅草保健所」 と書かれた「マナー啓発プレート」

(※「犬クソ看板」とは、所謂「犬のマナー啓発プレート」のこと。愛読書の「VOW」(宝島社)に掲載されていたり、大好きなテレビ番組「タモリ倶楽部」でも、「犬のマナー啓発プレート」を撮影している方が紹介されたりしていました。以来、密かに気になっていたんです。「犬のマナー啓発プレート」以下、「犬クソ看板」と表記します)

プレートからの挑戦状?「あなたのペットは大丈夫?」という衝撃

この看板は、長い年月この道の平和を守り続けてきたことが一目でわかる、いわば「レジェンド的な存在」。そこには、こう書かれていたのです。

「みんなのまちを美しく!」 「ふんの始末は飼い主の責任です」

ここまでは、よくある注意書きです。しかし、最後に添えられた一言が、わたしの足を止めさせました。

「あなたのペットは大丈夫?」

「…いや、大丈夫じゃないのは飼い主のモラルだよ! 」っていう、台東区からのキレ味鋭いカウンター。そのあまりに哲学的(?)な表現との出会いこそが、わたしを台東区が誇る「マナー啓発」という深い沼へと誘う、すべての物語の始まりでした。

フン害とのガチバトル!まさかのレジェンド級マナー啓発史!

「フン害なんて最近の悩みでしょ?」って思ったら、大間違い!台東区とフン害の戦いは、実は超ベテラン、昭和から続く大河ドラマだったんです。その後もまちを歩いていると、数多くの犬クソ看板に出会いました。お手製の物から、保健所が作ったであろう看板も多数!みんな困ってるんですね。

まち中には「歴史の生き証人」はまるで歴史のタイムカプセルから「よっ!」と飛び出してきたような激レア犬クソ看板が息をひそめていたのです。

例えば、わたしが最初にへび道で出会った犬クソ看板には、よくよくその看板の文言を見てみると、「台東区役所・下谷・浅草保健所」という文字が。今の台東区をご存知の方ならピンとくるはず。現在の名前は「台東保健所」です。そう、この看板は、平成9年(1997年)の合併によって「台東保健所」が誕生するよりも前、昭和から平成初期にかけて活躍していたということなのです!

さらに時を遡ると、物語はついに昭和へ突入。昭和32年に「東京都飼い犬取締条例」が制定。ちなみに、条例はその後、改正されて昭和43年に「飼い犬」→「飼い犬等」に変わり「放し飼いの犬は全員捕獲OK」という「東京都飼い犬等取締条例」が施行。昭和55年には「東京都飼い犬等取締条例」は廃止。そんな激動の時代に使われていた犬クソ看板の中には、「東京都飼い犬取締条例 第3条の規定」という、条例名がそのままドーン!と書かれたホーロー看板まで存在していたのです!

なんともう、保健所の担当者さんですら現物は「見たことない…」と語る、幻の秘宝レベル!この歴史をたどると、「それでもフン害は続いてきた」という、ちょっと笑えない事実が見えてきます。そう、犬のマナーを守ることは、昭和の時代から脈々と続く、地域の一大テーマであり、私たちの「長い闘い」だったのです。

令和の今も現役で、まちの片隅でマナーを訴え続けている。この健気な歴史の目撃者を前にして、わたしの好奇心はマックスに到達です。

「東京都飼い犬取締条例」と書かれたホーロー看板

いざ、真実を求めて「台東保健所」へ!

「犬クソ看板のことをもっと知りたい!」「今のプレートはどうなっているの?」
へび道での運命的な出会いによって、すっかり犬クソ看板の虜になってしまったわたしはこの謎を解き明かすために、台東区のフン害対策を一身に背負う「愛護動物管理」の担当者さんに、直接お話を聞きに行ってきました!

台東保健所 生活衛生課愛護動物管理担当は5階

まず、現在進行形で台東保健所が配っている「現役バリバリ」の犬用プレートだけでも、実は大小合わせて6種類も存在することが判明!!

こちらは、すべて無料で配布されているんですって。もしフン害などでお困りの台東区民のみなさまは、ご自身の状況にあった犬クソ看板を台東区保健所 生活衛生課 愛護動物管理担当窓口にてGETしてくださいね。

現在、台東保健所で配布している、6種類の犬型「犬クソ看板」

今、保健所の窓口でもらえるキュートなワンちゃん型犬クソ看板。中には10年以上も形を変えずに生き残ってるツワモノが。これは台東区が業者とタッグを組んで生み出した、知る人ぞ知る?啓発界のロングセラーなんです。「守ろうルール!」という基本のメッセージから、「ノーリード(放し飼い)はダメよ!」というワンちゃんの安全を願うもの、さらには国際都市・台東区らしく、英語・中国語・韓国語を駆使した「多言語グローバル・エディション」まで完備されているのです。これには、「言葉の壁を超えてでもマナーを守ってほしい!」という区の並々ならぬ執念…いえ、情熱を感じずにはいられませんね。

被害者からの要望により、目立つようにした黄色い犬クソ看板

中でもわたしが気に入ったのは、こちらの犬クソ看板。これはフン害の被害者からの要望で「黄色で目立たせて!」という声は採用しつつも、「きれいな街は 人にも犬にも優しい街 散歩の落し物はないですか?マナーを守って 楽しく気持よいお散歩を」と文言は徹底的にマイルド路線を採用したんですって。

犬の表情:目が笑っているデザイン!(カワイイワン!!)
デザイン:足跡(肉球)マークで和み感をアップ!!
文言:「糞尿」ではなく、誰かの忘れ物のような「落とし物」。
これなら、プレートを貼りたい人も、ご近所の目を気にせず、ちょっとユーモアを交えながら「ここは勘弁ね!」とアピールできますね。

被害者と飼い主さんの間でトラブル(軋轢)が起きないように、地域共生を円滑にするための粋な工夫なんですね!最終的には、「飼い主さんのモラル」に訴えかけて、「よし、片づけるぞ!」と自発的に動いてもらうのが一番だと、区は考えているようなんです。

犬クソ看板だけじゃない!台東区の取り組み

令和7年度の台東区への苦情で多いのは、
  1.『鳴き声』 14件
  2.『汚物(フンの不始末)』 5件

台東区「保健所事業概要 令和7年版」より抜粋

さらにお話を伺うと、区の対策はプレートだけではないことも判明。
秘密兵器「木酢液」:匂いで「ここはトイレじゃないよ」と教える忌避剤の配布。
飼い主のバイブル「愛犬手帳」:平成7年(1995年)から続く、愛情と責任を説く虎の巻。
デジタル&リアル教育:YouTube動画や、プロの訓練士による「しつけ教室」、さらには「どうぶつ愛護フェスティバル」の開催。

飼い主のバイブル「愛犬手帳」他にも「愛鳥手帳」「愛猫手帳」もあります!
台東区「保健所事業概要 令和7年版」より抜粋

台東区の「保健所事業概要(令和7年版)」によると、年間600枚以上もプレートが配られているのです。それだけ困ってる人が多いっていう「切実な現実」が見えてきます…。

でも、区は単に「ダメ、絶対!」って禁止事項を押し付けるんじゃなくて、「笑いとマイルドさ」で解決しようっていう挑戦を続けているんです。台東区、なかなかやりますよね!

いつかプレートが「お役御免」になる、その日まで

今回のインタビューを通じて見えてきたのは、犬クソ看板に込められた「やさしい共生への願い」。
台東区が頑なにワンちゃんの形をして「トゲトゲしくならない」デザインを守り、「糞尿」を「落とし物」と言い換える理由。それは、被害者と飼い主の間に立ち、無駄なバトルを回避させたいという、保健所の皆さんの深い愛と配慮だったのです。
へび道で出会ったあの看板も、現在のニッコリ犬クソ看板も、すべては「みんなのまちを美しくしたい」という願いから生まれたサインなんです。

犬クソ看板は単なる注意書きではなく、地域の人々の暮らしと愛着が形になったものだったのですね。
担当者さんは最後、少し照れくさそうに、でも力強く語ってくれました。

「最終的には、飼い主さんのモラルという温かい心に頼るところが大きいんです」と。
もし、すべての飼い主さんが「愛情はたっぷりと、責任はしっかりと」
という言葉を胸に、愛犬との散歩を楽しめるようになったなら。その時こそ、まち中の犬クソ看板たちは「私、もうお役御免!」と、晴れて卒業の日を迎えることができるでしょう。 そんな「看板のないワンだふるな未来」を目指して、今日も台東区の犬クソ看板たちは、街の片隅でニッコリと笑いながら、私たちのモラルにそっと語りかけ続けています。さあ、次のお散歩では、あなたもフェンスの上の「小さな守護者」たちのメッセージに、耳を傾けてみませんか?

【オマケ】まち歩きのお供に!Let’s犬クソ看板BINGO♪♪

チャレンジしてみよう!筆者が台東区内で撮影した犬クソ看板の一部です。

路上観察が「まちの物語」に変わる瞬間
わたしたちは普段、何気なくこうした看板をスルーしちゃいますよね。でも、「なぜ、この場所にこの看板があるの?」「誰が、どんな思いで設置したの?」と、「看板の向こう側」に思いをちょっとだけ馳せてみると、まちの見え方はガラリと変わります。
へび道で見つけたあの古い犬クソ看板も、きっと「もう、勘弁してよ〜!自分の敷地を汚されたくないのよ~」という切実な思いを持った地域の方が、わざわざ保健所の窓口まで足を運んで手に入れ、設置したものなのでしょう。
看板のメッセージは、周囲の風景と響き合っています。そこには、このまちを愛し、美しく保ちたいと願う人々の営みと愛着が息づいているのです。そう思うと、ただの「注意書き」が、地域の人々の心の叫びと優しさが詰まった、愛おしいメッセージに見えてきませんか?

マナーを守って楽しく気持ちよい散歩を!

この記事を書いた人ライター一覧

坂田またたび

広島県府中町生まれ、松戸市在住。 趣味は路上観察と、ストリートビューを見て犬や猫を探すことです。愛読書はVOW(宝島社)

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