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まちARTの眼鏡──vol.2「PLAY」展 MASA HAMANOI

まちARTの眼鏡──vol.2「PLAY」展 MASA HAMANOI

まちARTの眼鏡

美術館やギャラリーが広く存在する、谷根千ご近所エリア。このコーナーでは、谷根千ご近所で開催されるARTイベントや展示にまつわる情報をご紹介します。今回は11月27日まで谷中HAGISOで開催している「PLAY」展について、まちまち眼鏡店の事務局の谷がレポートします。
←「PLAY」プロジェクトのホームページはこちら

写真展ではない!? 遊び心満載な「PLAY」展

今回展示されている「PLAY」展は、フォトグラファー兼ディレクターのMASA HAMANOIさん、メイクアップアーティストのYOSHi.Tさん、スタイリストのYOSHIKIさん、ヘアのRITSUさんとで2015年にスタートした、”アソビゴコロ”をテーマにしたプロジェクトの一環として企図したもの。これまでのシリーズでは、モデルに思い入れのある場所を前もってインタビューしてから撮影するという流れだったそうですが、以前に撮影やHAGISOでの展示で谷中を訪れた際におもしろいところだと感じ、これまでのシリーズとは反対に気になる場所にモデルを招いて撮影してみようとなったそうです。今回の展示は、こうして2021年に谷中で撮影された作品をディレクションした写真群で構成されています。

多くの人が想像しそうな、額に入った写真が展示される従来の写真展とは異なり、”PLAY(=「遊ぶ」)”と題された展示タイトル通り、明るく楽しく、ときにクスッと笑わせてくれる、賑やかな展示となっています。

展示されているのは、数多くのハガキサイズ程度の小さな写真たち。写っているのは風景ではなく人物が中心で、登場するモデルは10~20代くらいの透明感のある男女。背景には、よみせ通りの先にある魚屋の山長さんや谷中霊園、夕焼けだんだんを登った先の冨士屋ホテルの跡地など、皆さんにとっても馴染みある谷中あたりのまち並みが写ります。

鑑賞していて何よりも驚かされるのはその展示方法で、切り抜かれていたり、折り曲げられていたり、写真同士が貼り付けられていたり、はたまたペンで塗られていたり……と、まるでギャラリー空間全体を縦横無尽に使ったコラージュのような遊び心満載なスタイル。展示されている場所もギャラリーのみにとどまらず、切り抜かれたモデルの写真が、階段や踊り場、トイレ(!)と、HAGISO内のさまざまなところに散りばめられています。

谷中のまちとも重なる不思議な鑑賞体験

ところで皆さんは、谷中のどこに魅力を感じますか?

”活気ある商店街”、”老若男女がイキイキと過ごすまち”、”レトロなまち並み”などなど、さまざまな魅力があると思いますが、時々感じる”非現実感”も魅力のひとつだと思います。

たとえば、ひとり散歩しているときに商店街から少し道を逸れ、入り組んだ谷中の路地に入り込んだ瞬間、ふと時間が止まって異世界に紛れ込んでしまったかのような不思議な感覚。そしてそのときに湧き上がるフワフワとしたワクワク感は、今自分が大都会・東京にいることすら忘れてしまうほどです。周りに人気がなかったり、突然ネコがパッと飛び出てきたりしたらなおのこと。そしてまた大きな通りに出ると現実に戻る……。そんな現実と非現実を行ったり来たりするような感覚が谷中にはあり、だからこそ、何度も歩きたくなるまちなのではないでしょうか。

さて、なぜ突然こんな話をしたのかというと、まさにこの「PLAY」展は、そうしたフワフワしたワクワク感、非現実感を感じさせてくれるような展示だったのです。在廊されていたHAMANOIさんにこうした感想を伝えてみたところ、「谷中という土地で撮ったからこそ写真からにじみ出ているのかもしれませんが、このプロジェクトでは、古い場所で若いモデルや今っぽい服を一緒に写すことで少しバランスをずらし、違和感や”非現実感”を感じるような形を目指している」のだそうです。

そういう視点で観てみると、キャラクターのように額縁を飛び出した切り抜かれたモデルの写真の数々や、会場に置かれた写真の中から飛び出したかのような魚のオブジェ、額縁のガラス面にペインティングが施された不思議な立体感のある谷中霊園の写真なども”非現実感”を強調しているような気がします。

また、モデルがこちらを覗いているような写真が多くあることについて、「やっぱり遊び心の基本って覗き見じゃないですか。どうなっているんだろう?という怖いもの見たさが最初にくるんですよ。写真は本来見るものだけど、それに見られているという違和感もまた伝えたくって(笑)」とHAMANOIさん。 

そして最後に、「ある本の中に”昔の日本には、まちの中に寺社仏閣や真っ暗な場所など、現実と非現実の裂け目のような、覗いてみたくなるような少し怖い場所がたくさん存在していた”という言葉があったんですが、PLAYもそういう違和感のあるものを見つけたくて表現しているような気がします。どこでもないまちでも、少し視点や捉え方を変えればもっと世界は広がると思うので、この展示を通してそういう切り口をちょっとでも見せられたらいいですね」と語ってくれました。

展覧会「PLAY」

[Artist]MASA HAMANOI(カメラマン)、YOSHi.T(メイクアップ)、YOSHIKI(スタイリスト)、RITSU(ヘア)
[会期]2022 11/1 (Tue.) – 11/27 (Sun.)
[会場]HAGISO

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まちまち眼鏡店

まちまち眼鏡店スタッフによる公式記事。谷根千ご近所エリアを拠点に、本サイトのコンテンツ企画・編集・運営を行う。スタッフ企画を含め、会員グループ内での活動の様子、まちのイベントについても掲載予定。まちまち眼鏡店サポーターも募集中!

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