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谷中に70もある!?お寺の知られざる日常──井戸端会議 vol.01

谷中に70もある!?お寺の知られざる日常──井戸端会議 vol.01

谷根千ご近所 井戸端会議

谷中というと、寺、坂、路地、昔ながらの建物、などの特徴が浮かびます。このコーナーでは、まちまち眼鏡店のメンバー(会員)から寄せられた素朴な疑問をもとにまちの人に話を聞きます。今回は、谷中に70もあるお寺のことを知りたい!というご意見をもとに、加納院さん、久成院さん、感慶寺さん、ひいらぎさんにお話を伺いました。

皆さんこんにちは。まちまち眼鏡店・店長の坪井です。谷中で3代続く工務店の娘としてこのまちに生まれ、育ちました。
谷中は寺町とも呼ばれ、実に70ものお寺があるということはご存知でしたか?暮らしていると毎日通り過ぎるお寺の門をくぐった先には、どんな日常が広がっているのでしょうか。

今回は谷中のお寺で育ってきた方、お寺に関わる仕事をされる方でしか経験出来ないエピソードや、お寺ならではの日常の一幕を伺いました!

お寺の暮らし

まずは通称「赤門寺」という呼び名で親しまれている「加納院」で勤務されている、森加奈子さんの想い出です。

私は祖母に育てられました。当時父も母もお寺の仕事で忙しく私はいつも祖母と一緒におりました。ご近所さんにお邪魔するのも一緒。テレビの時代劇も一緒にみました。祖母の旅行にもよくよく連れて行ってもらいました。
たくさんのいろいろな事を教えてもらいました。旅館のお部屋に案内されると最初にするのが鴨居の上、長押を指で拭うのです。「何をしているの?」「埃がないかみているの。」「見えないところなのに?」「見えないところこそ綺麗でなければいけないのよ。」お寺で育った祖母の言葉と行動は今でも私の基礎となっています。(森加奈子さん)

御府内八十八ヶ所巡り

ちなみに加納院さんは、「御府内八十八ヶ所巡り」のひとつに数えられます。弘法大師にゆかりのある、88箇所のお寺を祈念してお参りするお遍路コースのことを言います。そしてなんと加納院さん含め、88あるお寺の内、約12箇所が谷根千ご近所エリアに位置しているそうです。「御府内八十八ヶ所巡り」を身近なお寺さんから始めて見ると、また新たなまち歩きの楽しみ方ができそうですね!

東京お寺めぐり | ようこそ、こんごういんへ! 真言宗豊山派 金剛院 公式サイト

加納院
〒110-0001 東京都台東区谷中5-8-5

寝起き30秒で初詣!?

お次は、久成院住職の孫、あやかさんのエピソードです。

お寺の子供はもちろん、谷中の子供達にとっても、昔からお寺の境内は絶好の遊び場でした。幼い頃、よく友達がうちに遊びにきて、かくれんぼや鬼ごっこ、塀登りをしては膝小僧に傷を作っていました。どうやら、それは父、祖父の少年時代も同じだったみたいです。

それと、個人的にお寺の娘っていいなと思うところは、お正月、寝起き30秒で目が半開きのまま初詣できるところとか(笑)。学生時代には、受験の試験日からデートの日に至るまで、当日の朝に「うまくいきますように」ってお参りすると、なんとなく自信を持って臨むことができました。誰の日常にとっても、身近な場所であればいいなと思います。(あやかさん)

あやかさんは私(店長)の小学校時代の同級生。久成院は、徳川家康公が開基大檀越である「瑞輪寺」の塔頭(たっちゅう)に当たる由緒あるお寺でありながら、とてもアットホームで和やかなご家族で切り盛りされています。

久成院
 〒110-0001 東京都台東区谷中4-1-5

門を閉めたら犬と追いかけっこ

続いて、感應寺より住職の息子さん、かにさん(通称)です。

自坊で生まれ育って早云十年、幼い頃は墓地はダンジョン、格好の遊び場。週末は友達を呼んで母に”お宝”をどこかに隠してもらいみんなでやった。宝探しは子供心をくすぐった。

少年時代、今は亡き愛犬と共に門を閉めたら追いっかけっこ。5時の鐘の音と共に響く愛犬の遠吠えは今も僕の心にこだまする。

青年になり墓地はやがて安らぎの場へ。悩みがあると墓石に座り聴いてもらう。僕は年を重ね内面外面共に変化していき、それに伴いお寺とのかかわり方も変わっていく。

墓地の奥には妙雲寺を跨ぐおおきな楠。町や人は変われど彼は変わらずそこにあり続ける。
変化目まぐるしい都会の中、彼は迷った時に立ち返るための道標。(かにさん)

お寺と楠

感應寺さんにはグレープフルーツの原木やぶどう棚があると、教えていただきました。お寺の塀を横目にまち歩きをしていると、ゆずや、みかんなどの果物や、桜やあじさい、金木犀などを目にすることが多くあります。いつもより少し目線を上げてまち歩きをしてみると、お寺の塀の上から四季の訪れをいち早く感じることもできます。また感應寺さんではコロナ以前、敷地内でアーティストをお招きしてのイベントなども開催されていたそうです。ぜひ復活した際には、足を運んでみてはいかがでしょうか。

感應寺
 〒110-0001 東京都台東区谷中6-2−4

お言葉をインスタグラムで発信!

お次は、 念珠(数珠)のお店ひいらぎ、代表取締役の市原ゆきさんです。

界隈はお寺に溢れています。そしてお言葉にも溢れています。

コロナになって、お店はもちろん谷中へもお越しいただけない日々が続いた頃、せめて谷中らしい何かを見てリフレッシュしてくだされば、とインスタグラムで街並みやお寺のお言葉をご紹介していた(ほとんどのお寺様、無断掲載申し訳ありません)のですが、お言葉とっても人気です。手書きのお言葉はより反応が良く、あれを楽しみにうちのインスタを見ているとまで言われたり。

緊急事態解除後は「来る途中にインスタで見たお言葉看板見つけたの!」と教えてくださる方もいて、町とのつながりが持てたようで嬉しかったです。(市原ゆきさん)

ひいらぎさんが発信するお言葉のインスタグラムも見ていて大変楽しいのですが、市原さんのお話で印象に残ったのが「初めて東京のお葬式に出た時に、お数珠が1連で驚いた!」ということ。市原さんは名古屋ご出身。名古屋は仏具屋さんが非常に多く、お数珠も2重が主流で、結婚式やお葬式も盛大にされる傾向があるようで、文化の違いにとても驚かれたそう。ひいらぎさんでは、お数珠はもちろん、日常使いできる「おまもりブレス」といったラインナップもあり、こちらは宗教問わず石好きな方に人気だそうです。それぞれにあった自分らしいアイテムを探してみてください。

ひいらぎ
〒110-000 東京都台東区谷中5-4-1 

HP:https://hiiragi-tokyo.com/
Instagram:https://www.instagram.com/hiiragi_tokyo/


今回の井戸端会議では「お寺」をテーマにお話を伺いました。いかがでしたでしょうか?谷根千ご近所エリアのこんな話題について知りたい、などありましたら、ぜひメンバーとなって編集会議に参加してみてくださいね。

次回もお楽しみに。

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まちまち眼鏡店

まちまち眼鏡店スタッフによる公式記事。谷根千ご近所エリアを拠点に、本サイトのコンテンツ企画・編集・運営を行う。スタッフ企画を含め、会員グループ内での活動の様子、まちのイベントについても掲載予定。まちまち眼鏡店サポーターも募集中!

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