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ATOMのパンdeグラタン──料理研究家・井原裕美子さんのまちレシピ②

ATOMのパンdeグラタン──料理研究家・井原裕美子さんのまちレシピ②

魅力的な商店街が豊かな食卓をつくる

料理研究家・井原裕美子さんが、谷根千ご近所のお店で購入したおいしい食材をつかってオリジナルレシピを紹介するコーナー。今回は谷中銀座商店街にあるパン屋「ATOM(アトム)」のパン・ド・フランスをつかい「パングラタン」をつくりました。

商店街はおいしい!

私は4年間谷中に暮らし、商店街を利用してきました。 大型スーパーは幅広い商品ラインナップが魅力ですが、商店街は「職人が丁寧につくった商品」「目利き人が選んだ旬のもの」が魅力です。商品だけでなくヒトが主役の商店街に、私は強く惹かれていきました。 商店街を利用すると、買い物の仕方が変わり、それにともなって毎日の食卓も変わります。どんな風にかわるのか、レシピを通して伝えていきたいと思います。

【商店街がつくる豊かな食卓とは】

1.お店の人がおすすめを紹介してくれるので、思いがけない食材と出会える。
2.おいしい食べ方を教えてもらえるので、レシピの引き出しが増える。
3.あまり手を加えなくてもそのままでおいしいので、調理がラクになる。

パン屋「ATOM」

「明富夢」から「ATOM」へ

今回、秋の商店街からご紹介するのは、谷中銀座商店街の中にあるパン屋「ATOM(アトム)」。10年前、カフェの立ち上げをしていた私は、パンの調達先を決めるため、10を超えるお店のバタール※を食べ比べていました。店名を伏せた状態で食べた結果、断トツここのがおいしい!となったのが明富夢のバタール。
※ フランスパンの一種。バゲットよりも太くて短いため、中がふっくらやわらかい。

その後、パン・ド・フランス(バタールと同じ生地でつくられた食パン)や角食パンを購入しましたが、どれもおいしくて、全てカフェで使用させていただくことに決めました。カフェでは、このパンのおいしさを引き出すことを心がけるレシピを考案。お客さまは口々に「パンがおいしい」とおっしゃってくださいました。毎日食べても飽きないパン。食事として食べることも、おやつとして食べることもできる。アレンジの幅が広いのも特長です。

そんな素敵なパンを長年つくり続けてくれた前店主・有坂さん。実は今年の8月にご引退され、新しい店主である箕脇さんにお店を引き継がれました。
店名も「明富夢(アトム)」から「ATOM(アトム)」へ変わりました。

箕脇さんは、明富夢のロングセラー商品を大切にしつつ、一方で新しいパンの開発に力をいれていらっしゃいます。いい素材をつかって、保存料・添加物を使用しない、体に安心・安全なおいしいパンを届けたい、と箕脇さん。
箕脇さんはこれまで大阪に住んでいらっしゃいました。大阪でお店の物件を探していたところ、ご縁あって有坂さんと知り合い、東京でお店をはじめることを決めました(余談ですが、箕脇さんはパン職人の他、なんと電車の運転士もされていました……!)。
お引っ越し前は「東京の人はこわいかもしれない……」と不安もあったそうですが、谷中は住み慣れた大阪にどこか似ていて、人が温かく、この場所を選んでよかったとおっしゃっています。
肌寒くなってくると、焼きたてパンの香りが一層恋しくなります。新しくなったATOM。ぜひ、足を運んでみてくださいね。

ATOMが大切にしていること

保存料・添加物を使用しない、体に安心・安全なおいしいパンをつくります。バターのみを使用し、マーガリンやショートニング等は一切使用しません。国産小麦、地産地消の野菜を使い、環境へも配慮して参ります。

お客さまの声

「かたいパンは食べれないけど、ここのバタールは外側が薄くてパリパリ。中はふわふわでおいしい。」
「片道1時間かかるけどここのパンが食べたくて通っている。」
「とってもおいしいからどうやって作っているのか気になって質問しちゃう。」

〒110-0001 東京都台東区谷中3-11-14(谷中銀座商店街 内)
営業時間:6:00-19:00
定休日:不定休
03-3823-2076
Instagram:https://www.instagram.com/atom.pain/

明富夢の店主有坂さん。長年おいしいパンをありがとうございました!

ロングセラーの「バタール」や「パン・ド・フランス」

ATOMの店主箕脇さん。これからどうぞよろしくおねがいします!

ATOMの新作パン、ぞくぞく登場!


ATOMのパンdeグラタン

ロングセラー食パン「パン・ド・フランス」をつかってパングラタンをつくりました。秋が旬のかぼちゃ、きのこをたっぷりつかった栄養満点グラタン。パン・ド・フランスを加えチーズをかけて焼くと、表面はこんがりサクサク、中はとろーり。お子さまから大人までたのしめる味わいなのでハロウィンメニューにもおすすめです。

材料:2人分

【食材】

パン・ド・フランス4枚切り…2枚
かぼちゃ…100g
お好みのきのこ…200g
玉ねぎ…100g(約1/2個)
ベーコン…50g
チーズ…60g
(お好みで)パセリ…適量

【調味料】

有塩バター…大さじ2
小麦粉…大さじ2
塩…ふたつまみ
コンソメ顆粒…小さじ1
牛乳…400ml

※きのこはマッシュルーム、エリンギ、まいたけ、しめじを使用。
※チーズはシュレッドチーズ。細目のほうが水分が早くとび、短時間で焼き色が付くのでおすすめ。

作り方

【下準備】

・チーズを冷蔵庫から出し常温にする。冷たいまま使用すると焼き色がつきにくいため。
・パン・ド・フランスは、トースターで皮(耳)がパリっとするまで軽く焼き、調理ばさみで8等分に切る。

【1】素材を切る
かぼちゃはひと口大に切り、さっと水にくぐらせる。耐熱容器に入れ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ500Wで3分加熱しやわらかくする(固い場合は延長)。きのこは裂くと表面積が増え香りがよく味もしみやすい。玉ねぎは薄切り、ベーコンは細く切る。

【2】炒める
フライパンにバター(大さじ2)を熱し、ベーコン、玉ねぎを加えて中火で1分炒める。きのこを加え中火で2分炒める。

【3】煮る
火を止め、小麦粉(大さじ2)、塩(ふたつまみ)を加えて混ぜ、粉がなじんだら、コンソメ(小さじ1)、牛乳(400ml)を加える。焦げないようにヘラで混ぜながら加熱し、ひと煮立ちしたらかぼちゃを加え、中火で1-2分煮て火を止める(シチューくらいのゆるさ)。

【4】焼く
耐熱容器にグラタンソースを入れ、パン・ド・フランスを皮が上になるように加える。チーズをのせてトースターに入れ、焼き色が付いたら完成。お好みでパセリを振っても◎


このコーナーでは、魅力あふれる商店街の食材をつかった季節のごはんレシピを紹介していきます。谷根千ご近所で暮らす日々の食卓の参考にしてみてください。おすすめのお店があれば、ぜひご紹介くださいね。

過去のレシピはこちら!

この記事を書いた人ライター一覧

井原 裕美子

「季節のごはんTurnTurnTurn」の屋号で活動、料理教室とSNSでレシピを発信している。HAGISOのカフェ初代店長、保育園栄養士、企業の加工品開発やレシピ開発を経験。台東区根岸在住、1児の母。WEBはこちら

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