誰かの目線で
暮らしが深まる
谷根千ご近所の
ローカルメディア

つくりたての和菓子を選りすぐりの日本酒と組み合わせて楽しめるお店「和菓子 薫風」。千駄木の路地にお店を構え、生活もしているという佃さん(以下、つくださん)にまちの特徴や変化について伺いました。

(聞き手:まちまち眼鏡店 ふじ、うね)

「原宿の隣」だと思っていたあの日から、15年。

うね: 薫風さんは今年の7月で15年目だそうですね。最初から千駄木に縁があったんですか?

つくださん: いえ、2012年にオープンするまでこの辺りのことは全然知らなかったんです。紹介された時も、神奈川育ちの偏見で「千駄木? 原宿の隣でしょ!」って本気で思っていて(笑)。待ち合わせで「今原宿だからすぐ着くよ」って連絡したら、「それ千駄ヶ谷。あと30分はかかるぞ」って返されたのが始まりでした。

ふじ: 15年前だと、今とは街の雰囲気も違いましたか?

つくださん: 全然違いましたね。当時は今ほどお店も多くなくて、大きな古いお屋敷がまだ残っていました。それが少しずつマンションに変わっていって…。あと、とにかくスーパーがなかった(笑)。

みんな商店街で買い物をして、夕方5時を過ぎるとパタパタとお店が閉まっていく。
そんな「商売のまち」のリズムに驚いたのを覚えています。

「3年経ったら、声をかける」商売のまちの距離感

うね: 外から来られたつくださんにとって、このまちのコミュニティに入っていくのは大変でしたか?

つくださん: 最初は、半纏も貸してもらえないくらい閉鎖的な空気を感じたこともありましたよ。でも、それは冷たいわけじゃなくて、この街なりの「見極め」なんです。

ふじ: 見極め、ですか。

つくださん: せっかく親切にしても、2、3年でいなくなってしまうお店をたくさん見てきているまちだから。3年経って「あ、この人は続けられるんだな」と認められて初めて、スッと声をかけてもらえる。その「つかず離れず」の距離感が、商売のまちらしくて今は心地いいですね。

ふじ:たしか、このあたりの町会にも入っていましたよね。

つくださん: 私が町会に入ったのも数年前からです。最初は「町会」に対して、苦手意識があって様子を伺っていたんですけど、おにぎりカフェ利さくさんが昔からの付き合いで、親切に教えてくれたことや、世代交代が進んで、今の若いメンバーが中心になったのもあって、「あ、ここなら入りやすいな」って。

今じゃ、すっかり顎で使われる「下っぱ」ですよ(笑)。

藍染川の記憶と、まちの「境界線」

つくださん: 活動するようになってこのまちを調べていたら、面白いことが分かって。この辺りは昔、藍染川が流れていてよく氾濫していたんです。川の向こうは土地が低くて、こっちは少し高い。だから、こっち側には商人がたくさん住んでいたみたいです。

うね: 地形で住む人の気質が変わるんですね。

つくださん: そう。背景が見えてくると、まち歩きは本当におもしろいですよ。自分の店がどういう文脈の場所に立っているかを知ることで、お出しするお菓子や日本酒への向き合い方も深まる気がします。

つくださんの “まちゆきまかせ” -気づいたら、まちの案内所に-

(インタビュー中によりみちまっぷを手にしたカップルに遭遇!)

うね: つくださんご自身も、お店の合間にまちを歩かれることはありますか?

つくださん: 昼間はお店があるのでなかなか歩けないけれど、お店ではよりみちまっぷに来た人も含めて、お客さんに「この後どこ行くの?」って聞いて、次のおすすめを提案していますよ。

ふじ:つくださんが紹介するなら、やっぱりあの場所ですか?

つくださん: そうね、根津神社は一番わかりやすいランドマーク。鳥居が並んでいる景色は、外から来た人にも真っ先に教えたくなる場所です。でも、私は千駄木という場所を「通過点」だと思っていて。

うね: 通過点、ですか。

つくださん: 「こっちに行けば何かがあるよ」っていう中間点。うちでお菓子とお酒を楽しんでもらって、その余韻と一緒に次の素敵な場所へ送り出す。そんなふうに、まちとまち、店と店を繋ぐ役割でありたいと思っています。

📍和菓子 薫風

住所:東京都文京区千駄木2丁目24−5
HP:https://www.wagashikunpu.com/

💭店長・ふじの一言!
お店に行くといつも奥の厨房からやっほーって出てきてくれる気さくなつくださん。
「どらすく」などの変わったお菓子も豊富にあって、日本酒と併せて全部食べたくなっちゃう。

#まちゆきまかせインタビュー
現在JR日暮里駅コンコースで販売中のよりみちまっぷがちゃ。
マップづくりを支えてくれた、谷根千のまちで活躍する8人たちの店主たちへの、インタビューシリーズです。そんな店主たちが、普段どんなふうにこの街を歩き、どこに心惹かれているのか。彼らの視点から語られる「まちの楽しみ方」をお届けします!

この記事を書いた人ライター一覧

hagistudio

谷根千ローカルメディアとして、ニッチでコアな谷根千の楽しみ方を記事やイベントを通して発信している。 記事だけでなく、まちの人たちが企画を持ち込み、まち歩きイベントやトークイベントを不定期で開催している。 運営主体:株式会社HAGISO

これまで書いた記事

記事一覧

自分だけの「まち眼鏡」を探してみる?